平成19年07月号
2007年6月18日から7月20日までの外国為替相場振り返り
■6月18日から22日■
米ドル円為替相場は123円半ばから後半(一時124円)まで、ユーロ円為替相場は165円後半から166円後半まで円安が進行しました。主に円キャリー取引の動きが強まったこと、米住宅市場に対する懸念が強まったことなどによりドルが売られたことーなどが影響し、円安相場の展開となりました。
■6月25日から29日■
米ドルは123円半ばから122円後半まで下落した後、123円を回復して引けました。ユーロは、166円半ばから165円前半、再び166円後半まで値を戻す展開でした。
円安に対する警戒感を示す内容となった国際決済銀行(BIS)の年次報告などを受け、円は対米ドルで買い戻される場面が見られました。
■7月2日から6日■
米ドルは122円半ば付近から123円半ば近くまで、ユーロは166円後半から168円台までユーロ高が進行しました。
米ドルがサブプライム・ローン(信用力の低い住宅ローン)問題から対主要通貨で売られる一方で、金利差を背景に円は弱含んだため、円安相場の展開となりました。
■7月9日から13日■
米ドルは123円から121円台を、ユーロは168円から167円を一進一退する展開となりました。
米住宅市場に対する警戒と金利差、及び日銀政策決定会合(11日から12日に開催、結果は変更なし)とをにらみ、総じて一進一退を繰り返す一週間でした。
■7月16日から20日■
週末にかけて米ドルは121円台前半へ、ユーロは167円台まで値を戻しました。
サブプライム・ローン問題への懸念などを理由に、米ドルは対主要国通貨に対して軟調な展開となり、米ドル円為替相場でもドルが売られ、円が買われる動きがおおむね優勢となりました。
(2007年7月23日 10時現在)
【参考:各国の政策金利】
(2007年07月23日現在)
国名
政策金利(%)
改定日
米国
5.25
2006/06/29
英国
5.75
2007/07/05
オーストラリア
6.25
2006/11/08
ニュージーランド
8.00
2007/06/07
ユーロ
4.00
2007/06/06
日本
0.50
2007/02/21
(出所:Bloomberg)
【参考−住友信託銀行第一公示仲値の推移】
−期間:2007年6月18日から7月23日まで−
※過去の実績を示すものであり、将来の見通しを示すものではありません。
今後の外国為替相場チェックポイント
海外投機筋や個人投資家の外貨建て投資信託の設定、外国為替証拠金取引を通じた円売り圧力に押され、円安相場が続いています。このコーナーにおいて円高リスクに触れて来ましたが、一方で円を積極的に買い戻す理由が見出だしづらい状況であり、為替相場は膠着感を強めています。
ただ、円安要因に陰りが出て来ていることは見逃せません。
ひとつは、当局姿勢の変化の可能性。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の18日の委員会証言を受けて、住宅市場の調整の影響を受けた米景気減速リスクを警戒しつつも、当面、政策金利は維持されるものと受け止められており、懸念された米国景気については軟着陸見通しが広がりつつあります。
このような状況下、米ドル円為替相場が125円に近い水準となっていること、そして来年の大統領選挙を控えていることを考慮し、経験則として米国の円安批判が高まりやすくなる可能性がある、との指摘があります。去る7月10日に退官した渡辺財務官は、初の介入なしの財務官となりましたが、円安批判の声が強まってきた場合、後任の篠原財務官が「円買い介入の選択肢を検討する」可能性すらささやかれています。
次いで、これを受けた早期の日銀利上げの可能性。国際決済銀行(BIS)の6月の年次報告では、円の価値が下がり続けて来たことは異常とされ、日本の政策金利引き上げが望ましい旨の認識をにじませており、「8月及びその後の利上げスピードを早める追い風になった」、とする声があります。
これらの指摘は、直接的には「金利差」を糸口とした為替相場の調整を予想するものですが、片や「絶対的な金利差を背景とした円安相場の持続」を予想する向きも根強くあります。
しかしながら、内外の投機筋、投資家の円売りポジションが大きくなっていること、主要国と日本の金利差の拡大が止まりつつある状況下、やはり円高方向の相場調整に注意が必要でしょう。
株式市場の動向(参議院議員選挙結果が与える影響は?)
最後に参議院議員選挙の結果が株式市場に与える影響ですが、海外投資家の動きは、日本の政局よりもおおむね海外の景気動向の方が優先されるため、選挙結果そのものが市場に与えるインパクトは限られたものになる、との声が強いようです。
仮に与党が敗北し、国内投資家の反応が過剰に出て株価が下落した場合には、海外投資家の買い姿勢の変化(=かえって買い姿勢が強まる可能性)にも注意しておきたいものです。
参考レポート −中国市場を紐解くヒント−
中国株式市場のあらまし
中国本土には、二つの証券取引所があります。上海証券取引所(90年11月設立)と深セン証券取引所(90年12月設立)です。それぞれの取引所で取引されている株価を指数化したものが、「上海A株指数」「上海B株指数」「上海総合指数」などと呼ばれます。
特に注目すべきポイントとして、中国株式市場の時価総額合計は、中国の国内総生産(GDP)の約8割、市場における個人投資家は約9,000万口座と見積もられており(2007年4月末現在)、「バブルの様相を呈している」と言う指摘まであります。これは、中国の株式相場が崩れた場合、個人消費、引いては中国経済に悪影響を及ぼすリスクとしてとらえておく必要がありそうです。
株式市場過熱感の背景に過剰流動性と限られた金融政策
頻繁に耳にする「過剰流動性(金余り)」ですが、過熱感を強める中国株式市場もその影響を受けていると言われています。この過剰流動性を生み出している事象として、貿易黒字の拡大と海外資金(直接投資)の流入が挙げられます。
特に貿易黒字については、自由な資本取引がなされている通貨の場合、為替レートで調整される(人民元高)のですが、人民元は未だ規制通貨として変動幅が抑制されており、人民元が国内市場に出回っています。また、金利を大幅に引き上げて市場に出回る資金を吸収する金融政策も、これによって新たな投機資金を呼び込み、過熱感を煽る可能性があると言われており、緩やかな速度で調節せざるを得ないと言われています。言わば、「金融政策の手詰まり感」が、株式市場の「バブル」を引き起こす遠因だと指摘する声もあります。
この限られた金融政策を考慮して、当局が相場に水を差す様々な規制を講じた場合、相場が崩れるおそれがあることを念頭に置いておく必要がありそうです。この場合、個人消費等の減退が対中依存度を強める日本経済に波及するおそれがあることも忘れたくないポイントでしょう。
秋には党大会
今年は、5年に一度の中国共産党・全国代表大会が秋に開催される予定であり、これまでの約5年間では「上海閥」と呼ばれる江沢民前総書記の影響を受けた一派の影響で、自由な手腕を発揮できなかった胡錦濤総書記の人事に注目が集まります。
政治・経済両面で特殊な顔を持つ中国については、その理解を増すことがもっとも大切だと言われています。2008年の北京五輪、10年の上海万博を控えて、さらなる経済発展と沿岸部と内陸部の調和を図る、新たな体制の行方もウォッチしてゆく姿勢が重要でしょう。
(お問い合わせ先)
住友信託銀行株式会社マーケット資金事業部門マーケティングユニットクライアントサービスチーム
メールアドレス:
cs@sumitomotrust.co.jp
あとがき
ようやく台風による関東地方の雨が止んだ三連休最終日の午前、またしても新潟県を大きな地震が襲い、甚大な被害を生みました。
揺れ、建物の倒壊、ライフラインの損壊など、被災者の皆様の記憶やその後の生活に悪影響を及ぼすことが心配されます。今回被災された皆様の一日も早い復興、普段の生活に戻られることを願ってやみません。
翻って日本の土地は、太平洋プレートとユーラシアプレートの接点に位置し、どの地域でも地震発生の可能性があると言われています。改めて地震発生時に必要なもの、避難場所、家族との連絡体制など、再確認しておくことが大切ではないでしょうか。
ご注意ください
●このページは、2007年7月23日現在におけるマーケティングユニットの見解を記したものであり、当社としての見通しとは必ず
しも一致しません。
●このページのデータは、各種の情報源から入手したものですが、正確性、完全性を全面的に保証するものではありません。
●また、作成時点で入手可能なデータに基づき経済・金融情報を提供するものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願い申しあげます。
ご愛読ありがとうございました。次回をお楽しみに。
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