平成19年05月号
2007年4月19日から5月15日までの外国為替相場振り返り
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月19日から5月15日の外国為替相場については、4月末の展望レポート(※1)に注目しつつも、日本に於いては大型連休をはさんだことや、新たなテーマを求めて比較的薄い取引き状況でありました。
対円の外国為替相場について、期間中、米国の強弱入り混じった経済指標などにより、もみ合う動きはあったものの、ニュージーランドと英国の政策金利引き上げ(※2)、及び堅調な資源相場を背景とした豪ドル高、堅調な景況感を背景としたユーロ高の流れが緩やかに持続し、総じて円安傾向の相場推移となりました。
5月14日以降も、各国の経済指標及び統計を手がかりとして、為替相場はもみ合う動きを見せています。
※1 展望レポート(4月27日公表)
先月号でご紹介した、日本銀行の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)が4月27日に公表され、物価見通し(政策金利運営に影響)を下方修正するも、実体経済の強さを背景に、概ね金融政策運営に変更のないこと(=徐々に金利水準を調整してゆく)が示されたため、市場の反応は限定的でした。
※2 各国の政策金利
(2007年05月16日現在)
国名
政策金利(%)
改定日
米国
5.25
2006/06/29
英国
5.50
2007/05/10
オーストラリア
6.25
2006/11/08
ニュージーランド
7.75
2007/04/26
ユーロ
3.75
2007/03/08
日本
0.50
2007/02/21
(出所:Bloomberg)
(2007年5月16日 13時現在)
今後の外国為替相場チェックポイント
当面の大きな政治イベントとして、2007年6月上旬(6−8日)にドイツで開催される先進八カ国首脳会議(G8)に注目が集まりますが、市場では新たなテーマを探している状況であり、当面は金利差を主たるテーマとして為替相場が動きやすい展開に変わりはない、との声が目立ちます(「各国の政策金利」ご参照)。
さて、ユーロ圏も堅調な景況を反映して、6月には0.25%の利上げを実施する公算が高まったとする市場関係者が大勢であり、総じてユーロについては強気の見通しとなっています。
今月号では、このユーロ高の背景及びリスクと、強弱入り乱れる米国の景況感のチェックポイントをご紹介いたします。
ユーロが堅調に推移する背景
(利上げ観測)
欧州経済は、年初にはドイツの付加価値税(VAT)引き上げに伴う景気減速懸念がありましたが、影響は限定的で、引き続きユーロ圏の経済状況は良好な指標を示しており、利上げ観測が強まっていることが、ユーロ高の一因とされています。
(ユーロ需要の高まり)
また、EUは今年一月に、新たにルーマニアとブルガリアを加え全27加盟国となり、また同月スロベニアが単一通貨ユーロを導入したことによって、ユーロ加盟国は13カ国と広がっています。99年のユーロ導入当初は、ひとつの手段(金融政策)で複数の目標(参加各国のインフレ率)を統制するのは相当困難で、制度崩壊すら危惧されていましたが、世界経済が堅調に推移する中で、為替リスクを伴わないユーロの導入は、今となってはEU加盟国にとって大きな魅力(メリット)となっています。ユーロ参加国の増加はユーロ建て取引の増加を生み、このユーロ需要の高まりが、ユーロ高の理由の一つに挙げられています。
(国際金融におけるユーロの地位向上)
その他に、各国外貨準備のユーロ・シフトなど国際金融市場におけるユーロの存在感の高まりがユーロ高の背景にあると言われており、これらを総合的に勘案して、上述に示した「強気」のユーロ相場見通しに繋がっているようです。
他方、強気のユーロ相場を転換させる外部要因リスクとして、「米国経済の回復」、「日本の利上げ」が挙げられるでしょう。この状況にも注視し、ユーロの巻き戻しの可能性を警戒しておくべきとする指摘もあります。
米国景況感に関するチェックポイント
今後の米国景気及び米国政策金利の先行きを占う上で、各種経済指標に注目が集まりますが、今までのところは「まだら模様」と表される、強弱入り混じった結果を示しており、米国政策金利の見通しは専門家の間でも分かれています。以下では、主要な論点と経済指標のチェックポイントを整理してお伝えすることにしましょう。
(住宅市場)
米国の景気後退リスクの高まりを指摘する際にもっとも大きな材料として取り上げられるのが、米国住宅市場です。
ここ最近、注目されるキーワードとして登場してきた感のある「サブプライムローン」問題による米国景気腰折れリスクについての見方を整理してみると、「サブプライムローンの残高は住宅ローン残高の一割程度に過ぎず、中古住宅販売など住宅販売市場に底打ち感が見られることなどから、景気腰折れリスクは小さい」とする見方と、「住宅ローン返済の不履行が増え、差し押さえ物件が市場に出まわることによって住宅価格の低下が加速する」とする見方の綱引きの様相です。
このように、住宅市場の動向が米国景気に与える影響に対する見方の違いが、政策金利見通しを分かれさせるもっとも大きな要因だと言えるでしょう。
(設備投資)
景気が過熱から後退に変化する際には、企業の過剰投資を原因に挙げられる場合が多く、景気判断に際して注目される指標です。特に米国の場合、01−02年頃に現れた設備の大幅な調整局面は、「ITバブルの崩壊」と称され、不況に陥った経験があります。
ただ、この企業の設備投資については、おおむね過剰な状態としては考えられていないのが大勢で、回復や改善の兆しを見て取る向きの方が強まっています。現時点においては、年内利下げ派から利上げ派まで大きくは見方が割れていないのが特徴と言えそうです。
(個人消費)
住宅市場ほどではないものの、原油・ガソリン価格の高騰が、個人消費に悪影響を及ぼす声が根強くあります。これまでは、堅調な雇用環境を背景とした個人所得の伸びが消費を支えてきたとされていますが、賃金上昇率の低下と原油市場の高騰が物価に影響し、個人消費の冷え込みを悪材料視するものです。これに住宅市場悪化の見方が結びつき、個人消費の悪化を予想する声があります。
他方、欧州向け直接投資収益の拡大や、中国などからの安価な製品の流入とドル安が消費者余剰をもたらしていることや、堅調な雇用環境及び金融政策への信頼感から、総合的には個人消費減速及びその影響は限定的とする見方もあります。
この個人消費の動向に対するとらえ方の違いが、政策金利の見通しを分かれさせる要因になっています
以上を主な論点として、現在の米国政策金利の動向については、年内複数回の利下げの立場から、据え置き、利上げの立場まで分かれた見通しが出ています。
景況感及びそれに基づく金融政策の変更は、中長期の為替相場に影響を与えますので、引き続きこのようなポイントをご参考に情報収集いただく姿勢が大切でしょう。
【参考−住友信託銀行第一公示仲値の推移】−期間:2007年4月19日から5月16日まで−
※過去の実績を示すものであり、将来の見通しを示すものではありません。
(お問い合わせ先)
住友信託銀行株式会社マーケット資金事業部門マーケティングユニットクライアントサービスチーム
メールアドレス:
cs@sumitomotrust.co.jp
あとがき
「足るを知れ」とは、筆者が幼少の頃、明治生まれの祖父から幾度となく聞かされた言葉です。
ところで、今まさに私たちが直面している地球温暖化・資源問題は、「足るを知る」ことなく、便利さを追求した、日本を含む先進諸国の人びとが招いた結果だと言われています。
地球温暖化・資源問題は、不思議なところに現れて来ました。石油に替わるエネルギーとして注目が集まる「バイオ燃料」(エタノール)の生成には、サトウキビやトウモロコシが必要とされ、農家の転作が相次いだために、オレンジジュースの価格が上がるそうなのです。
これは、太平洋に浮かぶ島が海面上昇により水没してしまう、との報道が、決して他人事でないことを連想させる身近な一例でしょう。
さて、そうは言われても、人間の欲求は足るところを知らないものです。筆者の場合は食欲でしょうか。結果、筆者の周りで唯一自信を持って「足るを知る」と言えるもの、それはベルトの穴かも知れません!?
いやいや笑うなかれ。なかなか「重く」のしかかる問題なのですから。
ご注意ください
●このページは、2007年5月16日現在におけるマーケティングユニットの見解を記したものであり、当社としての見通しとは必ず
しも一致しません。
●このページのデータは、各種の情報源から入手したものですが、正確性、完全性を全面的に保証するものではありません。
●また、作成時点で入手可能なデータに基づき経済・金融情報を提供するものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願い申しあげます。
ご愛読ありがとうございました。次回をお楽しみに。
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